ビーチクリーンの意義

海は深い懐で私たちを迎えてくれます。そこへ行く人々はサーフィンをしに来たり、犬の散歩、海水浴、水平線を眺めに、心を癒しにといろいろな目的のために訪れます。そこがゴミ一つ落ちていないビーチなら訪れた意味もあったというものです。しかし、そこにたった一本のタバコのフィルターを見つけてしまって、せっかくのいい気持ちも台無しです。そこで自分の良心は見過ごすわけにはいかなっかった。それをポッケットに入れて帰った。ビーチクリーンとはこの気持ちです。ビーチクリーンはイベントではありません。極自然な優しさの現れ、心の余裕です。

しかし、今も波は打ち寄せては返します。またゴミもいっしょに打ちあがります。一人でやるより二人でやるほうがたくさん拾えるし、時間も少なくて済みます。だから日にちを決めてみんなでやるのだけれど、その時だけやってもだめです。一人でやれる勇気がなければ。ボランティアでやるビーチクリーンはその心を育むためにだけにやるのです。

動物界から見たらこれは相当おかしいことをやっています。だって人間自らが捨てたものをまた同じ人間が文句をいいながら拾ってる。いらないから捨てた、昔はいるものだったのに、今はいらないものになった。それは地球を支配する人間のエゴです。その影響を既に動物たちは食らっています。ビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまったカメ、釣り糸がくちばしにからまってえさを食べれない鳥。こんなことが将来人間たちにも振りかぶってくるでしょう。

ビーチクリーンを体験した人、一人一人が地球の鼓動を感じてほしいのです。

ボランティアの語源はボルケイノのVOLだと言います。まさに地球の火山活動、己の中から湧き出すもの。己の心優しき魂から湧き出す抑えようのない行動力をもって地球を抱きしめて欲しいのです。

大磯ビーチクリーン実行委員会
田原靖夫